【レビュー】qdc 4CS カスタムIEM2本目、手を焼く相棒
2018年4月、春のヘッドフォン祭2018。
場所は中野サンプラザ。
ボクは、会場で耳型インプレッションを採取し、オーダーシートに記入しました。
qdcの4CSのオーダーシートに記入しました。
どうも、mugiHaLです!
今回は、qdcのカスタムIEM「4CS」についてレビューというよりご紹介していきます。
2度目のカスタムIEM選び
はじめてのカスタムIEMは、2017年の12月に注文、翌年2月に手にしました。機種は、カナルワークスのCW-L02。
自分でデザインした愛着。唯一無二の装着感。
カスタムIEMって良いな、なーんて思ってしまうと次は何にしようかという欲が出てきてしまいます。そんな熱々のタイミングで行われた「春のヘッドフォン祭2018」。カスタムIEMもキャンペーン価格ということで、qdcの4CSを注文しました。
ヘッドフォン祭当日に決めるという事も出来ないので、何度かeイヤホン秋葉原店さんとフジヤエービックさんにお邪魔して試聴しました。
予算は10万円以下と決めて試聴をしましたが、良いなあと思ったのは、「qdc 3CH」「qdc 4CS」「UniqueMelody MAVIS」。気になったのは「Westone WST-ES30」。
個性的なイヤホンというよりも、リファレンスになりそうな、2~3万クラスとは文字どおり「格」の違うものを探していました。3CHは値段を考えるとかなり良い機種です。低音も張り出していてリスニング向きですが、実力のあるイヤホンだと感じました。4CSとMAVISとES30はナチュラルな音で、イヤモニなサウンドで良いなあと思いました。4CSとMAVISはハイ寄りですっきりしていて、ES30はウォームで抜け感は無い平坦な音だった気がします。セール価格とはいえMAVISは10万を超えていたので4CSになった次第です。
ちなみに、3CHは3SH、4CSは4SSとqdcはカスタムとユニバーサルで同じなので専門店が近くになくても、ヨドバシカメラがあれば試聴できます(ビックカメラはあの一件が無ければ今でも試聴できたのかな…)。そして、ユニバーサルとカスタムで値段もほとんど変わらないです。後述しますが、qdcはユニバーサルの装着感がかなり良いので、3SHと4SSを強く推します。
オーダーと完成とリフィットと
インプレッションは、会場の採取サービスにて割りばしの横噛みで採取しました。デザイン込みでぎりぎり10万円弱を支払いました。インプレッションでは片耳が少し水っぽいな?と思いましたが、2度目の経験ということでよく分からないので、取り直しはしませんでした。
それから、2か月後。
ミックスウェーブさんから完成品が届きました。ワクワクしながら、写真を撮りながら開封していき、あることに気づきました。
デザイン間違えた(^・ω・^)
右耳をレッド、左耳をブルーにしようとしていたところが逆になっていて、オーダーシートの控えを見ても逆になっているじゃないか。こればっかりは仕方ないし、職人さんはボクの指示通り綺麗に作ってくれたじゃない。
これはアイデンティティーということで、いざ聴こうとするとうまく耳に嵌らない。これは、ボクの知ってるカスタムIEMじゃない。ということで、即刻リフィットに出しました。一度手にしたものを手放す感覚。カスタムIEMのリフィットは結構悲しいです。
この時、某掲示板とかツイッターで情報を集めると、どうやらqdcをオーダーした人はみんなリフィットに出してたみたいです。qdcの作り方の問題なのかヘッドフォン祭の採取する方の技術か、要因は分かりませんでしたが、qdcはこれっきりかなという思いになりました。うまく出来ている人もいますし、オーダーメイドの”さだめ”ですね。
リフィットが終わって戻ってきたとき、まだ違和感はありました。確かに良くはなっている…けど、という感じでしたが、待ちたくないのもあり妥協しました。
qdcはユニバーサルモデルの装着感がとてつもなく良いので、変にカスタムIEMでリフィット地獄になるよりも、ユニバーサルモデルをイヤーピースで調整した方が良いかもしれません…。
この時の時系列は以下のとおりです。参考までにどうぞ。
2018年4月29日
ヘッドフォン祭でオーダー
2018年6月27日
完成品が届く&リフィットを決める
2018年7月21日
リフィット終了連絡&フジヤエービックまで取りに行く
こうして見ると、ヘッドフォン祭という一気にオーダーが来るタイミングでも結構スムーズで、3か月待ちとか4か月待ちとかにはならなそうです。
個性は薄いが優秀な音
オーダーの話はここまでで、ここからは音質について触れます。
環境は、
- DAP:NW-WM1A
- アンバランス、ハイゲイン音量22~25
です。
音質傾向は、パリッとしたBA型らしい音質で、低域がスッと抜けてくれるので音数の少ないGreenDayやSum41などの洋ロックが聴きやすく感じました。水分量の多いしっとりとした音でもなく、SHUREの上位機種のようなザラザラした音でもなく、まさしく”ニュートラル”な音がします。
低音は、量感より質感重視で程よく出ていて全体のバランスが取れています。
中高域がやや強めですが、刺さりやシャリ付きはほとんど感じません。長時間の使用でも聞き疲れしません。この辺りの感想は、ボクのブログでは月並みですが、試聴を重ねてしっかり選んでいる訳なので、手元に集まるイヤホンはどうもキャラクター像が重なるところがあります。少し冒険したいとは思うのですが、好きじゃないものを買うというのもおかしな話ですね…。
声のトーンが高い女性声優やポップなアニソンはかなり得意なのではないでしょうか。男性ボーカルや、カーペンターズのような低めの女声は若干ハリが無く弱弱しさを感じることがありました。
同じ音域の楽器も素晴らしく、米津玄師の「Lemon」など、ピアノを使用したポップスでは見晴らしが良くハッとさせられます。
3~4BAドライバのイヤホンに対して、ボーカルが近いという勝手なイメージを持っていますが、4CSはそれほど近くありません。各楽器やボーカルが同じくらいの距離にいる感じがして、コンサートホールのように広くもなく、目の前に音像が見える訳でもなく、スタジオを連想させる音作りです。足並みが揃っていて音を追いかけやすいです。反面、音の厚みがそれほど無く、サウンドステージは若干狭めです。
ここで、少しネガティブになってしまいますが、実は4CSの使用率はそれほど高くありません。CW-L02の方がかなり出番が多いです。
試聴機で、分解能の高さとビシッと決まる低位感に感動してオーダーしましたが、リスニングの楽しさが少し薄く感じてしまい、使用率が低くなってしまいました。そのため、レビューするぜ!的な熱意も無かったのです。
もともと、今回はリファレンスになりそうな、悪く言ってしまえば「つまらない音」を探していたので、そういう意味では正しい解答が出来たのではないかと思っています。
それでも、最近は出番が結構多く、朝の通勤中にスイッチを入れたいときは、4CSで”キレの良いアニソン”を聴いたりしています。
さいごに
分解能が高く、息継ぎまでくっきりと聴こえるところは、さすが10万円クラスだと感心しました。
よく1万円以上は能力の差はほとんどなく、好みの問題なんて言いますが(ボクも言っていました)、実際に手にしてみて日ごろから使っていると差を感じます。店頭で数分試聴する時は、店内BGMとか騒音もあってか、ドンシャリ系など特徴的なイヤホンが魅力に感じますが、使ってみると感じ方が変わるというのは何度も経験してきました。
イヤホン選びは試聴をして決めろ、と言いますが、試聴で惚れて買ったイヤホンが合わないというのも悲しくなります。eイヤホン カスタムIEM専門店さんでは店内が静かで、じっくりと試聴できるのがとても良いなあ、と思います。
カスタムIEMなので、気軽にオススメするものではないですが、買ってよかった。作ってよかったと思います。
それでは。